文学研究科日本文学専攻 博士論文公開審査会のご案内

日本文学専攻では、下記のとおり博士論文公開審査会を開催いたします。

論文提出者 グプタ・スウィーティ
論文題目  平林たい子
        ―社会主義と女性をめぐる表象の多様性と転換
日時   2014年6月14日(土) 14:30 〜16:30
場所   日本女子大学目白キャンパス百年館高層棟5階 504会議室

公開審査会ですので、どなたもご参加いただけます(予約不要)。皆様のお出でをお待ちしております。

大学院進学説明会

 日本文学科では去る5月1日(木)、「日本文学専攻進学説明会」を開催致しました。国語科教諭、博物館学芸員、日本語教員、研究者を目指す3、4年生を中心に多くの学生が参加し、熱心に耳を傾けていました。


 学部とは異なり大学院は、実際に入学するまで具体的なイメージを持ちにくいものです。そんな謎に包まれた大学院について、まずは専攻主任より、入試、カリキュラム、修了者の進路等に関し、具体的な説明がなされました。昨年から始まった内部推薦入試は、より高度な専門性を身につけたうえで教壇に立とうと考える学生や、入試を気にせず卒業論文に集中したい学生には、とくに関心が高いようです。院生の実際の時間割を用いた履修モデルからは、院生たちが、中学・高校や日本語学校の講師として実社会で経験を積みつつ、専門的な学びを実現している様子がリアルに想像できました。


 続いて、現役の院生3人が、大学院生活の実態を語ってくれました。博士課程前期(修士)に在籍する教員志望のOさんと、日本語教員を目指す留学生のYさんは、入試の体験談、授業の実際等々、後期(博士)に在籍中のYさんは、研究活動の様子を、現役生ならではの視点で詳しく伝えてくれました。研究分野もバックグラウンドも将来の夢も異なる3人が、演習発表の準備や論文作成の過酷さを、生き生きと楽しそうに語る姿が印象的で、彼女たちの現在の充実ぶりがうかがえました。
 予定時間をフルに使い、具体的・実質的な情報が豊富に発信された本会では、女性が夢を叶えるために切磋琢磨できる場としての日本文学専攻のリアルな実態に触れることができ、院を経てから社会に出るという選択の向こうに、一つの展望が開けた参加者も少なくなかったようです。

新入生進路ガイダンス

 日本文学科では去る4月10日(木)、卒業生の鳥巣彩乃さんをお迎えして進路ガイダンス「就職活動に困らない4年間の過ごし方」を開催致しました。

 このガイダンスはいわゆるハウツーを示すものではありません。どのような人が「社会に求められる人」なのか、そして「社会に求められる人」になるためにはどのような目的意識を持って大学生活を過ごすべきかを日本文学科の新入生に考えてもらおうという趣旨で、卒業以来「社会と人を結ぶ」仕事に携わってこられた鳥巣さんのご協力のもと、今の時期に実施しています。
 世間では「日本文学科は就職に不利」とよく言われるけれど、果たして本当に不利なのか?おそらく多くの本学科学生が抱えているであろうそこはかとない不安についてもお話がありました。学生たちが鳥巣さんのお話に真剣に耳を傾け、与えられたワークに取り組んでいました。鳥巣さんから意見を求められる場面も多くありましたが、全員がきちんと自分なりの考えをはっきり述べていました。

 

 一方的な講演会ではなく随所にワークを取り入れた全員参加型のガイダンスは新入生にもとても好評で、これからの4年間意欲的に学生生活を送りたい、今の時期にこういうガイダンスがあるのはとてもよかったという感想が多く寄せられました。皆がその気持ちを忘れずに学生生活を過ごしてくれることを願ってやみません。

日本文学専攻進学説明会

大学院日本文学専攻では、来たる5月1日に下記の通り進学説明会を開催致します。
大学院は学部とはいろいろな点で大きく異なります。

  • 大学院とはどのような場所で、どのようなことを学ぶのか
  • どのような勉強をして入試に備えれば良いのか
  • 大学院生の生活はどのようなものか
  • 修了後の進路はどうなっているのか

さまざまな疑問にお答えいたします。また、現役大学院生にも本音を大いに語ってもらいます。本専攻について知る絶好の機会ですので、少しでも大学院に興味をお持ちの方は是非ともご参加下さい。学外の方も大歓迎です。

学術交流企画 シンポジウム「定家のもたらしたもの―継承と変容―」

 昨日(3/22)、日本女子大学文学部・文学研究科学術交流企画 シンポジウム「定家のもたらしたもの―継承と変容―」が開催されました。お天気にも恵まれ、大変多くの方々が足を運んで下さいました。会場には140名分の席を用意しておりましたが、追加の椅子を搬入しなくてはならないほどの盛況で、ご来場のみなさまには窮屈でご迷惑をおかけいたしましたことをお詫び申し上げます。

 渡部泰明先生からは、『百人一首』の定家歌「来ぬ人をまつ帆の浦の夕なぎに焼くや藻塩の身もこがれつつ」(建保四年内裏百番歌合)をめぐり、本歌とされる『万葉集』巻六の笠金村歌だけではなく、淡路島と須磨を結びつける発想、さらに『源氏物語』須磨巻の光源氏藤壺詠などをすべり込ませているというお話があり、単に本歌取といったレトリックにとどまらない「連想」「縁語的思考」というキーワードで定家の和歌の創作を考えていくことの重要性が示されました。
 村尾誠一先生は、定家宗を自認し定家に直接向き合わなくてはならないと明言する正徹が、「変容しない定家」だけでなく「13,14世紀に変容する定家的なもの」(鵜鷺系偽書をはじめとする)を少なからず受容していることを、具体的な作品を挙げつつ指摘されました。宮廷人である定家と市井の人間である正徹とでは和歌の発想も自ずから変わってくること、正徹は言葉の操作による複雑な文脈作成により難解複雑な和歌世界の形成を企図していたことなどのご説明がありました。
 味方健先生は、まず村尾先生の鵜鷺系偽書についてのお話を受け、禅竹の能や能楽論にも鵜鷺系偽書からの影響が見られることを指摘されました。さらに禅竹作品の具体的な詞章に則して禅竹が定家詠の読み替えを行っていることを示され、禅竹作品に頻出する「なかなかに」という語(「禅竹詞」)を紹介してくださいました。
 最後のポール・アトキンス先生は、ダンテの「神曲」の構成(地獄篇→煉獄篇→天国篇)についてお話になり、さらに定家をシテとした近世の謡曲「明静」のご紹介がありました。「明静」ではシテの定家が地獄の苦患を受けている理由について間狂言でしか語られないが、これは禅竹の能「定家」のテーマである式子内親王と定家の恋を前提としているからで、定家は邪婬の罪によって地獄に堕ちているのだということ、地獄道のリアルな描写とそこからの救済という「明静」の展開は、期せずして「神曲」と重なり合うものであり、定家と式子内親王はダンテとベアトリーチェに他ならないという、非常にダイナミックで興味深いお話がありました。

 いずれも刺激的なご発表でしたので、フロアからもいろいろな質問があり、それに対する先生方のお答えもとても知的好奇心を刺激されるものでした(味方先生は「定家」の謡までご披露下さいました)。14時から18時という長丁場でしたがあっという間に終わってしまったような気が致します。熱気に満ちあふれた、非常に充実したシンポジウムとなりました。ご登壇賜りましたパネリストの先生方に、改めまして感謝と御礼を申し上げます。

学術交流企画 シンポジウム「定家のもたらしたもの―継承と変容―」(再掲)

かねてご案内の学術交流企画 シンポジウム「定家のもたらしたもの―継承と変容―」今週末(3月22日)の開催です。みなさま奮ってご参会下さい。

日時:平成26年3月22日(土)14:00〜18:00(終了予定)
場所:日本女子大学 目白キャンパス新泉山館
     国際交流センター大会議室
入場無料・予約不要
パネリスト

コーディネイター

    
    

倉田(岩淵)宏子先生講演会「フェミニズム批評/ジェンダー批評との出会い」


 昨日、新泉山館大会議室にて、日本文学科教授・倉田(岩淵)宏子先生のご退任記念講演会「フェミニズム批評/ジェンダー批評との出会い」が開催されました。

 まず、フェミニズム批評/ジェンダー批評の展開について、フェミニスト・クリテーク、ガイノクリティシズム、そしてジェンダー批評へという大まかな流れが示されました。次いで、先生のご専門である宮本百合子について「戦争とジェンダー」という視点から、『雪の後』『播州平野』の二作品を取り上げ、これらの小説が全体主義がどのように民衆に対して機能し浸透していったのかを明らかにし、恋愛や結婚という極めて日常的で個人的な問題を通して庶民が戦時国家体制に巻き込まれていくことへの警鐘を鳴らしたというご説明がありました。朝の連続テレビ小説のとある場面の危うさについてのご指摘などもあり、いろいろと考えさせれられることの多いご講演で、あっという間に90分が過ぎてしまったような気が致します。

 場所を移しての懇親会では、大勢のみなさまにお集まりいただき、教職員、教え子などさまざまな御関係の方々から、相次いで、お祝いと感謝のスピーチを頂戴致しました。女性文学研究の旗手としてのご活躍はもとより、骨身を惜しまず学生・院生の教育にあたられ、そして大学の将来のために常にご尽力くださった先生のお姿は、まさに「太陽」そのものでした。日本文学科一同、倉田先生の今までの多大なる御恩に心からの感謝を捧げますとともに、先生のご健勝と益々のご活躍を心より祈念申し上げる次第です。