大学院談話会


 日本文学専攻では、10月10日(木)14:00より東京大学名誉教授・久保田淳先生をお招きして大学院談話会を開催致しました。

 久保田先生は中世和歌文学がご専門で、本専攻では非常勤講師として永年「中世文学の研究」をご担当いただいておりました。今回は「歌を読む」ということで、現在携わっていらっしゃる明治書院『和歌文学大系』のお仕事でのご経験を通じて、和歌の注釈の場で生ずるさまざま問題について上代から近代に至るまでさまざまな実例を挙げながらお話をしてくださいました。作者が良かれと思って改訂したものが読者にとっては必ずしも良いテキストとは限らないということ、校訂本文を作る際の仮名の清濁の問題など、実に示唆に富むご講演でした。

 談話会終了後に開催された茶話会ではさらに先生のご研究に対するスタンスが熱く語られ、非常に密度の濃い、充実した時間を過ごすことができました。「昔の人の考えていたことをわかりたいから、そのために注釈を付ける」「精読も大切だが、多読してはじめて見えてくることがある」というお言葉に院生達はとても感銘を受け、研究へのモチベーションを高めていたようです。我々教員にとっても至福のひとときとなりました。改めまして久保田先生に心より御礼申し上げます。