クリスティーナ・ラフィン先生講演会「世界の阿仏尼―日本中世女性の文学をグローバルに考える」


 先週の大学院生向け講演会に引き続き、今回は、クリスティーナ・ラフィン先生に学部生向けに「世界の阿仏尼―日本中世女性の文学をグローバルに考える」というタイトルでお話をしていただきました。パワーポイントを駆使して、ビジュアル的にも遊び心あふれるご講演で、学外からのご来聴者も多くいらっしゃいました。

 始めに『源氏物語』のように世界各国で翻訳され、カノン化される古典文学が少ないという現実的な問題について言及があり、「ムラサキシキブ」と「ムラカミハルキ」が日本を代表する文学であるという認識が一般的である現状で、先生のご専門である女性文学という立場から、阿仏尼を「世界文学」という視点でどのように読むかという戦略的な問題についてもお話いただきました。
 我々日本人にとってはあまり馴染みがない「世界文学としての日本古典文学」という概念や、「世界文学」という視座で研究を考えた場合、どういう枠組みを作ってそこにはめ込み提示すると効果的であるかを考えながら研究を進めていく必要があることなど、グローバル化が叫ばれる昨今、とてもためになるお話を伺うことができ、非常に有意義な時間を持つことができました。ラフィン先生には心より御礼申し上げます。