国語国文学会秋季大会

 11月30日(土)、日本女子大学国語国文学会秋季大会が開催されました。
 午前の部は大学院生と研究生による研究発表。各人が現在取り組んでいる研究テーマについて持ち時間25分(質疑応答を含め)で発表を行いました。予想以上に多くの来聴者があり、レジュメが足りなくなるという嬉しいハプニングも。レジュメの作り方、持ち時間内にきちんと発表を収めるための努力など、院生はもとより大学院進学を考えている学部生にとっても良い勉強の場となったようです。

 午後の部は講演会。
 本学教授山口俊雄氏による講演「石川淳処女懐胎」を読む―奇跡の政治性」は、「論文を書く際の構想過程を知って貰いたい」という趣旨で、キーワード「あこがれ」から見えてくるもの、最後の場面が意味することなどについて示唆的なお話がありました。石川淳作品を読んだことがない学生も多く、当初は難しい内容についていけるか不安だったようですが、わかりやすい説明に興味を惹かれたとのことでした。

 雑誌『ダ・ヴィンチ』編集長関口靖彦氏のご講演「本を見つける/伝える」もまた、大変充実した内容でした。
 高校生以来『ダ・ヴィンチ』の愛読者だという学生もおり、人気雑誌の編集長のお話を伺えることを楽しみにしておりました。関口氏は雑誌の編集の仕事はどのようなものなのか、面白い本を見付けそれを発信していくためにはどのような工夫が必要かといったことをとても丁寧に説明して下さいました。現在、本は娯楽の中では小さな市場になってしまったと関口氏は仰っていましたが、『ダ・ヴィンチ』のようなカジュアルな文芸誌が面白い本を紹介し続けることが、娯楽としての読書文化の衰退に歯止めを掛ける役割を果たしているともいえるでしょう。
 本学科には出版・編集の仕事に就きたいと考えている学生が少なからずおりますが、関口氏の仕事に対する熱意に触れ、この業界で働きたいという気持ちがますます強くなったという学生も。講演会でも懇親会でも関口氏に積極的に質問をする姿が見られました。
 ご多忙のところ快くご講演をお引き受け下さった関口様に、学科一同改めて感謝申し上げる次第です。