博士論文公開審査会

 去る6月14日(土)、日本文学専攻では博士論文公開審査会(グプタ・スウィーティ氏「平林たい子論―社会主義と女性をめぐる表象の多様性と転換―」)を開催いたしました。
 補助椅子を要するほどの会場の賑わいが、院生たちの意識、関心の高さを伝えていて印象的でした。

 グプタ氏は、国費留学生としてインドから来日され、本学大学院日本文学専攻博士前期、同後期課程をつうじ、平林たい子に関する調査研究を続けてこられました。その成果をまとめられた博士論文は、たい子の小説に登場するヒロインたちに焦点をあて、詳細な分析を行なうことで、作者イメージに引きずられ、行動力、生命力みなぎる強い女という一面的な理解がなされてきた、たい子文学の女性表象に、新たな見解を提示するものです。

 審査会では、グプタ氏による研究成果の概説に引き続き、質疑応答が行なわれました。プロレタリア文学運動における女性表現の可能性についてあらためて考えさせられる示唆に富んだ内容で、参加した大勢の院生たちにとっても、実り豊かな時間となったようです。