倉田(岩淵)宏子先生講演会「フェミニズム批評/ジェンダー批評との出会い」


 昨日、新泉山館大会議室にて、日本文学科教授・倉田(岩淵)宏子先生のご退任記念講演会「フェミニズム批評/ジェンダー批評との出会い」が開催されました。

 まず、フェミニズム批評/ジェンダー批評の展開について、フェミニスト・クリテーク、ガイノクリティシズム、そしてジェンダー批評へという大まかな流れが示されました。次いで、先生のご専門である宮本百合子について「戦争とジェンダー」という視点から、『雪の後』『播州平野』の二作品を取り上げ、これらの小説が全体主義がどのように民衆に対して機能し浸透していったのかを明らかにし、恋愛や結婚という極めて日常的で個人的な問題を通して庶民が戦時国家体制に巻き込まれていくことへの警鐘を鳴らしたというご説明がありました。朝の連続テレビ小説のとある場面の危うさについてのご指摘などもあり、いろいろと考えさせれられることの多いご講演で、あっという間に90分が過ぎてしまったような気が致します。

 場所を移しての懇親会では、大勢のみなさまにお集まりいただき、教職員、教え子などさまざまな御関係の方々から、相次いで、お祝いと感謝のスピーチを頂戴致しました。女性文学研究の旗手としてのご活躍はもとより、骨身を惜しまず学生・院生の教育にあたられ、そして大学の将来のために常にご尽力くださった先生のお姿は、まさに「太陽」そのものでした。日本文学科一同、倉田先生の今までの多大なる御恩に心からの感謝を捧げますとともに、先生のご健勝と益々のご活躍を心より祈念申し上げる次第です。