『青鞜』創刊100周年記念国際シンポジウム

 本年は、本学卒業生の平塚らいてうが主唱し、多くの同窓生が参加した『青鞜』(1911年9月〜1916年2月)の創刊100周年にあたります。『青鞜』は、初の女だけの手による女のための文芸雑誌ですが、単なる文芸運動ではなく、日本の女性解放運動の原点になるという比類ない足跡を残しました。
 この記念すべき年にあたり、『青鞜』発祥の地ともいうべき本学において、『青鞜』が現在、世界でどのように読まれているのか、どんな影響を与えているのかを明らかにし、『青鞜』の今日的意義を明らかにするために、この企画を、本学「新しい女」研究会と、『青鞜』100周年記念国際シンポジウム実行委員会で共催いたしました。
シンポジウムは、メイン会場の百年館低層棟506教室だけでなく、予備会場の505教室も満席という大盛況で、100周年にふさわしい熱気溢れる会となりました。


1.『青鞜』ゆかりの地の見学会(10:00−11:45)
 成瀬記念館(1984年竣工。本学創立者成瀬仁蔵の教学の理念と学園の歴史を明らかにし、広く女子教育の進展に寄与することを願って設立された)、旧寮跡地(平塚らいてうが2年生の時住んだ七寮、および、1911年5月、『青鞜』趣意書を謄写印刷した楓寮跡)、成瀬仁蔵旧居、成瀬講堂(1906年建設。らいてう達3回生の卒業式挙行)という順路で、見学会を開催いたしました。
 80名を越す参加者を4グループに分けて、『青鞜』の痕跡をたずねる散策をしていただきました。
 
2.シンポジウム「今、世界が読む『青鞜』」(13:00−17:00)
シンポジスト  
   「フランスにおける『青鞜』研究」
         ボルドー大学教授  クリスティン・レヴィ氏
   「グローバルな視点から見た女性史と『青鞜』」
         ノースキャロライナ大学チャペル・ヒル校准教授
                     ジャン・バーズレイ氏
   「『青鞜』が韓国新女性に与えた思想的影響」
         東南保健大学教授  申南珠氏
   「『青鞜』と日本女子大学校―〈シスターフッド〉の水脈」
         日本女子大学他講師  溝部優実子氏
コメンテーター  広島市立大学教授  ウルリケ・ベール氏
         同志社大学教授  露口卓也氏

 シンポジストは、フランス・アメリカ・韓国・日本の研究者、コメンテーターは、ドイツ・日本の研究者というように、『青鞜』研究は現在、日本だけでなく海外の研究者によっても進められるようになっていることが明らかとなったシンポジウムでした。このことは、詰めかけた300名を越す参加者に強い感動を与え、『青鞜』を貫いた高い志を現代に受け継ぎたいという共通の思いが会場に漲っておりました。この歴史的シンポジウムに、平塚らいてうの令孫・奥村直史氏ご夫妻もご参加くださいました。
  
3.懇親会(18:00−20:00)
 本学の桜楓2号館にて開催、80名を越す参加者がありました。『青鞜』社員・山田わかの令孫山田様をはじめ、遠くは二ュ―ジーランドや、北海道・長野・大阪・京都・奈良などからもおいでいただきました。『青鞜』に思いを馳せながら、楽しく意義深い意見交換を行い、親睦を深めました。

* ご参加くださいました皆々様、厚く御礼申し上げます。