新作能「影媛」

 第二回能楽鑑賞会ということで、今回は馬場あき子作の新作能「影媛」(かげひめ)を見に行きました。
 『日本書紀』武烈紀の、物部氏の姫君・影媛と鮪大丈夫(しびのますらお)の悲恋の物語をもとにしたこの能は、影媛の愛をめぐって時の皇太子(後の武烈天皇)と鮪大丈夫が歌を詠み争った海柘榴市を旅の連歌師が訪れたところ、折しも今日はその歌垣を再現する日であったというところから話が始まります。現代の合コンを髣髴とさせるような賑々しい歌垣の様子が狂言方の役者達によって繰り広げられるのをはじめ、さまざまな趣向が盛り込まれながらも、全体として非常にまとまった舞台に仕上がっていました。
 舞台を見ながら熱心にメモを取っている学生もいましたし、「影媛のことはどちらかというと優柔不断なイメージで捉えていたので、今回の"強い影媛"という解釈は新鮮で面白かった」という感想もありました。参加者それぞれにこの作品を楽しむことができたのではないかと思います。次回の鑑賞会は11月頃の予定です!